非常に便利な刹那呪文の中でも優秀な部類に入る《根絶/Extirpate》だが、正直これは印刷すべきでは無かったカードだと思う。
と言うのも、根絶にはリアルMTGでプレイする場合において非常に大きなジレンマを抱えているからだ。


根絶をキャストする際の定石として、「相手のドロー・ステップにキャストする。」と言うのがある。
その時ドローしたカードがもし根絶するはずだったカードならばカード・アドバンテージを得られるからだ。
しかしドロー・ステップにおける優先権のやり取りは通常省略されており、またドロー・ステップからメイン・フェイズへ移行する際の特別な行動が無いため、非常にトラブルが発生しやすいのだ。


例1
A「アンタップ、アップキープ、ドロー。ドローした新ジェイスをキャスt」
B「ちょっと待った。ドローステップに根絶をキャスト、対象は墓地にある新ジェイスで。」
A「おいおい、カードを見たあとでそれは無いだろ」
B「いやいや、俺はドローステップに動くつもりだったのにAが勝手にメインフェイズへ移行しようとしたんじゃないか。」



例2
A「アンタップ、アップキープ、ドロー」
B「ドロー後に根絶。対象は墓地にある剣を鋤に。」
A「いや待ってくれ。俺はまだ優先権を放棄するとは一言もいってないぞ。と言う訳でドロー・ステップ中にソープロでBのタルモをリムーブするぜ。」
B「いやまて、普段から優先権のやり取りは省略してたろう」
A「根絶の可能性がある状態でSTPトップデッキすりゃ当然こうプレイするだろう。優先権を得たと勘違いしたBが悪い」



これらのケースで問題があるのはABどちらのプレイヤーだろうか?
例1にしても例2にしても、ABそれぞれのプレイヤーが本当はどう考えてたのかは本人にしか分からない。

例1の場合はAがドロー後に一端手を止めてからメインフェイズへ移行すれば回避する事が出来るが、果たしてそれは現実的に為し得るのだろうか?極端な話をすればESGと魔力変のあるレガシーでは常に根絶を打たれる可能性があり、完全にそれを回避するためにはゲーム終了までの全ターンでドロー後に一端手を止める必要があるのだが、それは余りにも非現実的ではなかろうか?

例2の場合はBがAのドロー後に「ドロー・ステップに何が行動しますか?」と聞けば回避出来るが、これは「私は今から根絶を打ちます」と宣言するに等しい行為であり、STPをトップしたプレイヤーは(仮にその時キャストするつもりが無かったとしても)根絶をケアするために即座にSTPをキャストするだろう。これではAが不当に不利な立場に置かれてはいないだろうか?
それを回避するためにAはBの毎ドロー・ステップにブラフとして上記の質問をし続ける事も可能だが、果たしてそれは現実的な方法だろうか?また時間稼ぎになりはしないだろうか?

また、この2つの例は互いに互いを牽制した結果起こりうる事だ。
例1のような状況を回避しようと相手のドローとほぼ同時に早撃ちすれば例2のような状況が発生しやすくなり、例2のような状況を回避しようとすれば例1のような状況が発生しやすくなる。


いずれにしても、根絶を巡るトラブルは打った側・打たれた側のどちらかにとって不当に有利な裁定を出さざるを得ない事になる。
根絶がソーサリーならば、刹那を持っていなければ、あるいはドロー・ステップとメイン・フェイズの間に特別な行動が存在すればこの状況は回避出来たのだが、不幸な事にそれは適わなかった。

MOでプレイするのと同じように、リアルMTGで根絶をプレイするためにはどうすれば良いのだろうか?誰か正解を知っていたら教えて欲しい。

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