言わずと知れた最強生物《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
レガシーだけに限らず、全環境においてこいつより強いクリーチャーは存在しないと言っても良い。

勿論《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》のようなカードとは比較する事が出来ないが、クリーチャーの基本的役割であるアタック・ブロックに関して言えばタルモゴイフはMTG最強のカードだろう。

今回はそんな最強生物について話してみたいと思う。


1.タルモゴイフは何故強いか

<単純なサイズで最強>
タルモゴイフは特性定義能力を除き、何の能力も持っていないバニラクリーチャーだ。にも拘わらず最強の名を欲しいままにしている理由は、単純にそのサイズが馬鹿げているからに他ならない。

勿論タルモゴイフよりも巨大なクリーチャーは存在するが、トーナメントレベルのカードでタルモゴイフよりも巨大なカードは片手で数えられるほどしか存在せず、しかもその全てが3マナ以上であり、同マナ域でタルモゴイフより巨大なカードは存在しない。

破格のマナレシオを持っていると言う単純な事実が、タルモゴイフを最強のクリーチャーたらしめているのだ。


<サイズが大きいと何故強いのか>
クリーチャー戦において、サイズの大きさは絶対だ。
例えば自分が《灰色熊/Grizzly Bears》を2体コントロールしていたとしても、対戦相手が4/5のタルモゴイフをコントロールしていれば攻撃させる事は出来ない。

それでもクロックの点数で見ればお互い4点なので互角に見えるが、この状況でダメージレースを開始する場合、先に殴り始めるのは必ず対戦相手になる。なのでダメージレースでは1ターン分負けている事になるのだ。

しかも自分はカード2枚使っているのに対し、相手はカードを1枚しか使っていないため、相手は残った1枚でこちらの灰色熊を除去したり追加のクリーチャーをプレイしたり出来る。そうすれば当然ダメージレースはより不利になる。

このように、サイズで勝っている側はカード・アドバンテージの面で有利な立場にあり、ダメージレースをするか否かについての決定権を持っている。
つまり、サイズで勝ると言う事はゲームの主導権を握る事と同義だと言える訳だ。


<使われるカードの軽さ、種類の多さ>
タルモゴイフは何もしない状態ではただの0/1クリーチャーでしかない。お互いの墓地にカードが蓄積する事で、4/5や5/6と言った馬鹿げたサイズに膨れあがる訳だ。
タルモゴイフがどれだけ強いクリーチャーになるかは、どれだけ早期にカードが墓地へ落ちるのかと同義だと言える。

タルモゴイフがスタンダードにいた頃、タルモゴイフは必ずしも最高の2手目ではなかった。スタンダードでは1ターン目からインスタントやソーサリーが飛び交う事は少なく、フェッチランドを起動する事も無かったので2ターン目に出したタルモが0/1でしたなんて事もあったりした。

しかしレガシー環境では2ターン目にプレイしたタルモも大抵の場合は2/3以上のサイズになっている。
そしてターンが帰ってきて殴る頃には3/4~4/5にまでサイズアップしているのが普通なのだ。
そんなアホな状況になるのも、レガシー環境に軽くて強いカードが多いからだ。
オールスター戦だからこそ色々なタイプのカードが使われるのであり、タルモゴイフはカードプールが広がれば広がるほど強くなるカードだと言えるだろう。


2.タルモゴイフの現状

<コスパ最強ではなくサイズ最強の時代>
未来予知発売当初、タルモゴイフは明らかにレガシー最強のカードだった。マナレシオの面ではなく、純粋なサイズの面で最強だったのだ。

レガシーで使われていたクリーチャーの中でタルモゴイフよりも巨大なクリーチャーはせいぜい《墓忍び/Tombstalker》と《賛美されし天使/Exalted Angel》ぐらいしか存在せず、3マナ以上の他のクリーチャーは全て「タルモより重いくせにタルモより弱い」と言う状況だった。

この時代に青緑スレッショルドが大流行したが、これは「タルモはクリーチャー戦において常に無敵であり、タルモに飛んでくる直接除去さえ弾いてしまえばあとはタルモで殴るだけで勝てる」と言う考えがあったからだ。

後にチームアメリカと言うデッキが誕生するが、これはその考えをさらに精鋭化させたデッキで、土地を縛ってタルモか墓忍びだして除去だけ打ち消せば勝てるだろwwwと言うなんとも大味なデッキだった。


<クリーチャーインフレによる相対的地位の低下>
しかしそんなタルモゴイフ王朝も終わりを告げる。
近年のクリーチャーインフレは凄まじく、タルモよりも巨大になりえるクリーチャーがちらほら登場し始めたのだ。
その中でも《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》は飛び抜けた強さを持っており、簡単にタルモゴイフのサイズを上回る。

《アトランティスの王/Lord of Atlantis》による島渡りや、《野生のナカティル/Wild Nacatl》と賛美の組み合わせによって、「タルモ側が常にダメージレースで先手を打てる」と言うアドバンテージは打開されてしまった。

もはやタルモゴイフを除去から守るだけで勝てる時代は終わったのだ。


3.タルモゴイフの使い方

<シンプルかつ強力な事に変わりはない>
タルモゴイフの相対的強さはやや落ちてしまったが、それでもタルモゴイフが最強の2マナ域生物である事に変わりはないし、総合的に見てレガシー最強のクリーチャーである事実は揺るがない。

しかしただタルモゴイフを使うだけで勝てる時代は終わってしまった。
これからはどれだけ上手にタルモゴイフを使えるかが重要になってくるのだ。


<より強化する事を意識する>
タルモゴイフのサイズは大体3/4~6/7だが、一番多いのは土地、クリーチャー、インスタント、ソーサリーが落ちている状態での4/5だろう。
これをより大きくする事で聖遺の騎士や長毛のソクターに負けないサイズを手に入れる事が出来る。
エンチャントやアーティファクトはもちろんの事、部族やプレインズウォーカーにも目を向けてみる事が重要なのだ。
特に《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》はタルモゴイフを飛ばす事が出来るのでオススメだ。7/8飛行が殴ってくるのはさすがに強すぎる。


<タルモだけに頼らず他の勝ち方も用意する>
しかし一番大切なのは、タルモゴイフに頼り切った構築を辞める事だ。
タルモは所詮除去耐性の無いバニラであり、死ぬ時には死ぬ。
それを無理矢理守れば相手の驚異に対する防御が手薄になるだけなので、無理して守らずとも戦えるようにする事が最も大切な事なのだ。

例えば聖遺の騎士や《ロウクスの戦修道士/Rhox War Monk》を使ってよりパワフルな打線を作ったり、《闇の腹心/Dark Confidant》でカード・アドバンテージを追求したり、《誘惑蒔き/Sower of Temptation》で相手のファッティを奪ったりと言った二の矢・三の矢を用意する事が、結果的にはタルモを最も効率的に使う事に繋がるのだ。



結局最後は当たり前の結論になったけど、コメのリクエストには応えられたんじゃないかな。
タルモは依然として強いカードだけど、一時期のような無敵生命体ではない。だからタルモを除去から守る際には、相手のデッキをよく考えて、タルモが相対的にどのような立場にあるのか、FOWでアド損してまで守るべき価値があるのかどうかを判断する事が重要になる。
そこを意識するだけで今よりもっとタルモが強くなるので、全国一億二千万人のタルモ使いの皆さんは是非参考にしてみて下さい。

コメント

ヤス
2009年10月9日15:42

概ね同意。
タルモの強さは、可変するパワー/タフネスと言うよりも。
圧倒的なコストパフォーマンスの良さだと思います。
氏の言う、2マナクリーチャーとして、2ターン目に出すと言うならば、
期待値:1/2〜2/3の生物であり、正直微妙です。
しかし、墓地が肥えて4/5以上が期待されるときタルモは輝きますな。
とかくターン中にたくさんの行動したいレガシーではマナに縛られるのは致命的ですね。
マナをどれだけ残せるか?に尽きると思います。
墓忍びにしかり、ファッティを出しても
3〜4マナを余裕持って残せるのも強みだと思います。

まぁ、所詮、タルモも緑のバニラなんで
それを補助するカードと組合せて
またマナ的に補助するカードを邪魔しない空気読める子なんで
優秀なんでしょうね。

nophoto
ナンシー
2009年10月9日21:14

早速ありがとうございました!楽しく読ませていただきました。
またなにかこだわりのカード等ありましたら是非解説してくださいね。

タルモ見てると何故か昔の輝いていたアーニーを思い出してしまいます。

きょうじゅ
2009年10月9日22:43

《タルモゴイフ》と《聖遺の騎士》、《闇の腹心》におまけに《墓忍び》まで入れられるBGwが最強に見えるが、いざ使ってみたらそんなことはなかった。マジック難しい。

nophoto
pgz
2010年9月11日15:20

mtgについて質問です。
先日、パックを購入したところ、《タルモゴイフ》というfoilのカードがあたったのですが、それから数日たちmtgのカード情報やデッキレシピを探していたら、ヤフオクより、《タルモゴイフ 四枚 25000円‼》というのがあり、とても驚きました(;゜0゜)
ここで質問なのですが、今私はタルモゴイフを使ってないんですが、これを売ってしまったら一体どれ位の値段になるのでしょうか?
また、もし売る事になれば、どこで売るのがBestでしょうか?
教えて下さい(ーー;)
よろしくお願いします。

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